語彙の豊かさは人の感性を磨く。受講を機に、次の活動につなげたい。

漢字教育士 冨田さゆり さん (東京都在住)
作詞家/(社)日本音楽著作権協会会員、(公財)日本漢字能力検定協会「漢字教育サポーター」

単体漢字が熟語になった瞬間“想像”が生まれる。

「春・夏・秋・冬、という一つずつの漢字を並べるだけでは、ただの季節としか受け取れないが、『春夏秋冬』といえば一年を思い起こさせ、季節の移り変わりが心に浮かぶ」 ― 漢字学各論Ⅱ/加地伸行先生の講義より ― 。この講座でのお言葉は、まさに私の心にずっと根付いていたものでした。漢字単体では心に思い起こせないものが熟語になった途端、心の中で“想像”を生み、新たな世界を紡ぎます。それ故に『春夏秋冬』は歌のタイトルにもなり、人はそれぞれの人生の『春夏秋冬』を心に描いたりもするのでしょう。漢字の持つ魅力は、そういうところにあると考えています。

感性を豊かにする、心の中の豊富な言葉。

漢字の勉強は、ただ知識を得ることのみならず、心に豊かさももたらしてくれます。色々な言葉が心の中にあれば、実際の生活の中で、例えば、美しい景色を見て感動したりするといった豊かな感情を抱くことができるのです。私は作詞活動を行っていますが、詞を作る上で大切にしているのは、やはり“心に感じたこと”。歌詞カードを見て、皆さんが「あれ?」と思われることもあるかもしれませんが、それは、詞を書く側にとって譲れない表現があるから。読み手にはどちらでもいいことでも、作詞家は言葉に強いこだわりを持って創作を行っています。

子どもたちに漢字の素晴らしさを教えたい。

「豊富な語彙を持つ」ことは、その人の感性をも磨くもの。今、コミュニケーション能力の低下が取り沙汰されていますが、語彙の豊かさは自分の気持ちを相手に伝える上で大きな力になり、それは、相手の気持ちを理解することにも繋がると思います。また、発信する側だけの問題ではなく、受け手側もまたそうでなくてはなりません。私が漢字教育士をめざしたのは、そうしたことを次代を担う子どもたちに教えたかったから。講座で、とくに白川先生の文字学を学べたことは、とても意義あるものでした。

※(財)日本漢字能力検定協会主催 漢検1級・準1級取得者対象 漢字教育サポーター育成講座受講